液晶からCPUまで様々。半導体に必要な材料や設備不足の影響は続く

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2020年後半はCPUやGPU、ゲーム機などの新製品ラッシュでしたが、多くの新製品は製造に必要な部材不足によって品薄状態が続いています。この影響はコンシューマー向けのPCパーツやゲーム機だけに留まらず、最近では自動車に搭載される半導体にまで影響が及び減産が強いられるなどしています。この原因として挙げられるのが半導体に必要な部材や設備不足です。

目次

供給不足の連続である半導体

Issues with Chip Packaging to Affect Supply of Client Processors in 2021 | Tom’s Hardware

半導体では、高密度ではないものと、CPUなどのnm単位で製造される高密度なものなど種類が存在しますが、どうやらその両方が影響を受けるような部材、設備不足が発生している模様です。

低密度な半導体向けではワイヤーボンディングの設備不足

ワイヤーボンディングとは、直径十数マイクロメートルの導電性物質のワイヤーを用いて、半導体とプリント基板間を電気的に接続する技術で低密度な半導体をパッケージ化する際に用いられる技術です。

半導体パッケージ紹介第4弾『ワイヤBGAパッケージ』|WTI

ディスプレイやタッチパネルの制御に使うチップや自動車向けの様々なコンポーネントの制御に使うECUなどもではこのようなワイヤーボンディングを活用してパッケージ化されたチップを使っているものになります。

そんなワイヤーボンディングはパッケージ化やテストする工程がアウトソース(OSAT:Outsourced Semiconductor Assembly and Test)されている事が多いのですが、それらを請け負うASE Technology、Greatek Electronics、Lingsen Precision Industriesなどでは高い需要と製造設備のキャパシティーオーバーにより製品出荷まで3~4か月程度の納期がかかるようになっている事がDigiTimesの取材で判明しています。

このワイヤーボンディングの需要が高まるとパッケージングに使う設備の需要も高くなりますが、その製造機器の製造も追いついていない模様です。製造機器大手のKulicke & SoffaやASM Pacific Technologyではワイヤーボンディング向け製造機器の納期は最大で9か月を見積もっているとの事です。また、連鎖反応的に品質テストなどを実施する設備の納期も6ヵ月以上の待ちが発生しているとの事です。

ノートパソコンやモニターが品薄傾向になる可能性

ワイヤーボンディングが用いられるチップはディスプレイやタッチパネルの制御に使われていると冒頭で記載しましたが、これらの供給不足によりノートパソコン向けやモニター用の液晶パネルが不足し始めているとの事です。DellやHPなどは需要に対して十分な量の供給が出来ておらず、この供給不足は2021年上半期まで続くと決算発表などでは明言しています。また、自動車向けに関しては世界各国のメーカーが減産に踏み切っている状況となっています。

ABF基盤の歩留りも問題に。

味の素が半導体向けの素材を作っている事はPlayStation 5やXbox Series Xの品薄原因を調べたExtremetechが記事にしており、日本ではGigazineで紹介された事で少し有名になりました。

このABF(Ajinomoto build-up Film)はCPUやGPUなど高密度な半導体を作るのには必須となる基盤に必要な素材で味の素の子会社である味の素ファインテック株式会社のみが製造している素材です。この素材を用いて『ABF基盤』を作るメーカーでは歩留りに問題を抱えておりこれがCPUやGPUの製造の足かせの一つになっている模様です。

High-end ABF substrates in increasingly short supply for HPC, server chips (digitimes.com)

歩留りに問題を抱えているのはUnimicron TechnologyやNan Ya PCB、Kinsus Interconnect Technologyで基盤製造の歩留りは最新のCPUやGPU向けであるハイエンド向け製品では最大で70%との事です。この低い歩留まりを穴埋めする形で各社は2021年から2022年にかけて生産量を10%程度上げる事を計画している模様です。例えば、Unimicron Technologyでは2020年10月に発生した火災でダメージを受けた山鶯工場をABF基盤の主要工場に再生する事を計画しているものの、実際に生産を開始するにはあと9~12か月程度かかる見込みとなっています。

犠牲になるのは儲けの少ないコンシューマー向け製品

半導体の需要は新型コロナウイルスによるステイホーム需要や、データセンター、自動車の高度化により大きく伸びており需要に対して供給が間に合っていない状況となっています。そんな中で、多くのABF基盤メーカーやTSMCなどのファウンドリは利益率が最も高いスーパーコンピューターやデータセンター、サーバーなどエンタープライズ向け製品に優先的に供給がされます。一方で、コンシューマー向けであるCPUやGPUの中でも一部ハイエンド向け製品もあるものの利益率ではエンタープライズ向けには敵わず優先順位としては下げられてしまう模様です。ちなみに、PlayStation 5やXbox Series Xのような製品は利益率がコンシューマー向けCPU/GPUよりも低いため必然的に優先順位は大きく落とされると考えられます。

 

もし2021年になればRyzen 5000やRTX 3000、PlayStation 5は値下がりして手に入りやすくなると考えている方も多いと思いますが少なくとも上半期中はあまり期待をしない方が精神的に良さそうな状況です。

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