Intel Sapphire Rapids-SPのES品ベンチマーク出現。TDPは最大764W、性能はEPYCに劣る場面も

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Intelでは2022年Q2までにサーバー・データセンター向け製品としてSappire Rapids-SPをリリース予定ですが、今回近いうちに投入が予定されているSappire Rapids-SPのES2品のものと思われる仕様情報とベンチマーク情報が出現しました。

目次

Golden Coveを搭載してZen 3 EPYCに対抗

Intelではサーバー・データセンター向け製品としてはXeonがラインアップされていますが、AMDがZen系アーキテクチャーを採用し、最大64コアとなるEPYCなどを発売して以降、IntelのXeonのシェアは時を追うごとに徐々に落ちており、一方でAMD EPYCのシェアが増えている状況になっています。

この原因としては最新のXeonであるIce Lake-SPではCPU1基辺り40コア80スレッドの一方で、AMDでは同時期に発売したEPYC Romeは64コア128スレッド、そして2020年以降はIPCを大きく向上させたEPYC MilanやMilan-X発売し、電気代やスペース効率、パフォーマンス面でも優れていることから多くのサーバーやデータセンターで採用が行われています。

IntelではこのAMDの躍進を受けて、対抗策としてコンシューマー向けCPUであるAlder Lakeに採用されているGolden Coveアーキテクチャーをサーバー向けに転用し、より多コア化したSapphire Rapid-SPを2022年中に市場投入予定で今回そのES品のベンチマークや仕様情報が出現しました。

消費電力は最大で420Wを記録。AVX-512利用時は762Wにも及ぶ可能性

Intel Sapphire Rapids-SP 56 Core Xeon CPU Spotted: ES Chip With 3.3 GHz Boost Clock, 420W Max Turbo Power, 764W BIOS Limit

IntelのSapphire Rapids-SPについてはES2品に関するベンチマークや仕様情報が出現しましたが、その時は48コア96スレッドを搭載するモデルでしたが、今回は56コア112スレッドを搭載するXeon Platinum 8476またはXeon Platinum 8480と見られる上位モデルになっています。このモデルではAlder LakeのP-Coreで採用されているGolden Coveコアを56コア搭載し、L2キャッシュは112MB、L3キャッシュは105MBでCPU合計217MBのキャッシュを持つCPUになっています。

ES2品の動作クロックとしてはベース動作クロックは1.9 GHz、ブースト時は最大3.3 GHzで動作し、シングルコア時のブーストクロックは最大3.7 GHzを発揮する設定になっています。

多コアで動作クロックが非常に高い一方でTDPについてはベース動作クロック時のTDPが350W、そしてブースト時のTDPは420Wにも及ぶ設定になっているとのことです。また、AVX-512を使った際を想定するBIOS制限値では最大764Wと設定されているため、CPU自体700Wを超えるような消費電力を要求する可能性があるとのことです。

AMDのEPYCについては次世代製品であるZen 4 EPYC Genoaが96コア192スレッドとなりますが、その最大TDPについては400W程度になると見られているため、ES2品の情報とは言え、このまま出ればSapphire Rapidsの電力効率についてはあまり高いとは言えないかもしれない状態になっています。

ES品だが、ベンチマークではEPYC Milanに2倍以上差を付けられる場面も

Sapphire Rapids-SPの56コア版を使ったベンチマークも今回出現しており、Zen 3世代のEPYC Milan最上位モデル、EPYC 7763や3D V-Cacheを搭載したEPYC 7773XやIce Lake世代のXeonと比べたベンチマークが出現しています。なお今回出現しているSapphire Rapids-SPのベンチマークはES2品のためパフォーマンスについては低めに出ていると見られています。

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シングルコア性能についてはSapphire Rapids-SPはES品の段階においてもIce Lake-SPで記録された各種ベンチマークでのスコアを10%以上上回るスコアが記録、CPU-Z(V17)においては20%上回っています。また、EPYC  7763に対してもCPU-Z(V17)においては5%上回っています。一方でCinebench R23についてはEPYC 7763より5%劣るスコアではあるもののES2品である事を考えると非常に良好なスコアと言えそうです。

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シングルコアでは非常に良好なスコアを出していたSapphire Rapids-SPですが、サーバー・データセンターで重要視されがちなマルチコアについてはあまり良好なスコアは出せていません。CPU-Z(V17)においてはSapphire Rapids-SPは16コア少ないIce Lake-SPに対して20%、EPYC 7763に対しては56%劣るスコアが出ておりES2が故なのかかなり低めになっています。また、Cinebench R23に関してはIce Lake-SPに対しては2%上回るスコアを記録していますが、EPYC 7763に対しては30%下回るスコアとなっておりCPU-Zでの結果と似たような傾向になっています。

Sapphire Rapids-SPについてはまだES2品であるため、各種ベンチマークのスコアは低く出ていますが、最終製品となるQSや市販版と進むにつれてパフォーマンスがより向上するとみられており、Zen 3アーキテクチャーを搭載するEPYC Milanに対して対抗するには十分な性能を発揮できると見られています。

ただ、AMDも2022年中にはZen 4アーキテクチャーを採用し、IPCの向上やコア数を64コアから96コアに増やしたEPYC Genoaを投入予定であるため、Sapphire Rapids-SPについては高い消費電力や最上位モデルでも56コアである事から引き続きAMDに対しては苦戦が強いられる可能性が高いと見られています。

Sapphire Rapids-SPについては2022年Q2までにリリースが予定されており、Intelのデータセンター・サーバー向けCPUの売り上げを上げる存在として期待されています。ただ、このCPUは当初は2021年内に市場投入が予定されており、決算発表の度に延期されるなどし、投資家からの失望を買っている製品となっていますが、パフォーマンスについてはまだES2品のため性能が低めには出ていると見られますが、EPYC Milanに対抗することはできるものの、Zen 4 EPYC Genoaに対抗するには少々厳しい性能になるのではないかと見られています。Intelについてはサーバー、データセンター向けの売上高が過去最高を記録するなど好調な部分もありますが、シェアの面ではAMDに取られている状態となっていますので、Sapphire Rapids-SPでどれだけシェアを守れるのか注目です。

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