GDDR7の仕様と進化点が判明、最大36Gbps。技術検証サービスより明らかに。

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現在、グラフィックカードに主に搭載されているメモリーはGDDR6かGDDR6Xですが、2024年に発売されるグラフィックカードではGDDR7が搭載されるとも言われています。今回、このGDDR7について技術検証ツールを提供するCadence社がこのGDDR7に関するサービスを開始するとともにこのGDDR7の仕様や進化点など情報を明らかにしています。

目次

GDDR7の仕様やGDDR6からの変更点が明らかに

グラフィックスカードに搭載されているメモリーについてはGDDR6またはGDDR6Xと呼ばれる規格が採用されており、速度は15Gbpsから速いものでは22Gbpsにも到達しますが、より高い動作速度と帯域幅が見込めるGDDR7が2024年に発売されるGeForce RTX 5000シリーズやRadeon RX 8000シリーズに搭載されると見られています。

今回GDDR7に関して製品へ搭載する上で設計の妥当性検証などを含めた技術検証サービスを提供するCanenceがGDDR7に関する仕様やGDDR6からの変更点や仕様を明らかにしています。

GDDR7のメモリー速度

GDDR7については新しいPAM3などのサポートにより現行のGDDR6やGDDR6Xに対してメモリー速度が大きく向上します。現在、GeForce RTX 4090に搭載されているGDDR6Xは最大22Gbpsとなっていますが、GDDR7では36Gbpsと言う速度で動作が可能となります。

36GbpsのGDDR7を使った際の各バス幅毎の帯域幅は以下の通りになります。

  • 128-bit @ 36 Gbps:576 GB / s
  • 192-bit @ 36 Gbps:846 GB / s
  • 256-bit @ 36 Gbps:1152 GB / s
  • 320-bit @ 36 Gbps:1440 GB / s
  • 384-bit @ 36 Gbps:1728 GB / s

現行のRTX 4090では22GbpsのGDDR6Xと384-bitのバス幅によりメモリー帯域幅は1008GB/sとなっていますが、GDDR7を採用すれば256-bitのバス幅で同等以上の帯域幅を実現でき、384-bitであれば1.7倍の1728GB/sと言う速度での動作が可能になります。

GDDR7で追加される新機能と変更点

PAM3

現行のGDDR6/GDDR6Xより高速化が行われているGDDR7ですが、その源となる技術はPAM3と呼ばれるエンコード技術です。

PAM3はNRZ/PAM2とPAM4の中間に位置し、3レベルのパルス振幅変調(-1、0、+1)シグナリングを使用し、1サイクルあたり1.5ビット(または2サイクルで3ビット)の伝送が可能です。 PAM3はNRZよりも高速なデータ伝送速度を提供し、メモリバス周波数を増やす必要性とそれに伴うシグナルロスの課題を減らすことができます。

全体的に、GDDR7はGDDR6よりも高性能で、より少ない電力を消費し、GDDR6Xよりも実装コストが少なくなることが期待されています。

ちなみに、このPAM3は既にUSB4 (80Gbps USB)で採用されているため、実績はあるようです。

PAM3の詳細

PAM3は-1、0、+1の3つの信号を伝送する技術で000、010のような3ビットのデータ信号に変換します。この場合、000は-1と-1が続くことを意味します。

データはこのような波形で転送されます。(横軸時間、縦軸がBitです)

PAM3以外にも上位のPAM4、下位のNRZと呼ばれる信号方式がありますが、PAM3のデータ転送速度がNRZとPAM4の間にあることがわかります。GDDR7では元々PAM4でも検討がされていましたが、追加コストが多くかかるノイズ対策の必要性からPAM3へ妥協が行われています。

信号方式 Bits サイクル サイクル辺りのBits
NRZ 1 1 1
PAM-3 3 2 1.5
PAM-4 2 1 2

GDDR7では高速化のためのPAM3などが主要な変更点となりますが、高速化を行うとメモリーの消費電力が上がる傾向にあるため、消費電力を下げ、電力効率を上げるための追加機能が用意されています。

リードクロックモード

GDDR7では消費電力を低減するための機能が用意されており、それがリードクロックモードのサポートです。

  • 常に稼働:常に稼働し、スリープモード中に停止します
  • 無効:動作を停止します
  • RCK開始コマンドで開始:ホストはRCK Startコマンドを発行してデータを読み出す前にRCKを開始し、必要に応じてRCK Stopコマンドを使用して停止できます
  • リード開始:DRAMがデータの読み出しに関するコマンドを受信すると、RCKが自動的に実行されます。RCK Stopコマンドを使用して停止できます。

このリードクロックモードを使用時にのみ使うRCK開始コマンドで開始/リード開始の2つのコマンドにより消費電力の低減が図れるようになります。

独立コマンドで各メモリーバンクの読み取り

GDDR7では、並列に2つの独立したコマンドを実行できます。たとえば、バンクXはCA [2:0]に対するバンクごとのリフレッシュコマンドを実行することで更新でき、同時にバンクYはCA [4:3]に対するリードコマンドを実行することで読み取ることができます。れによりメモリーの効率が向上します。

PAM3/NRZエンコード切り替え機能

GDDR7で導入されるPAM3は高速ではあるものの、電力効率では旧来のNRZの方が高いです。そのため、GDDR7では高帯域幅が求められる場面ではPAM3へ切り替え、それ以外の時はより電力効率の高いNRZに切り替える事で消費電力の低減を図る機能が設けられています。

GDDR7はRTX 5000やRadeon RX 8000で採用される予定だが・・・

GDDR7については冒頭の通り、2024年に発売予定の次世代グラフィックカード、NVIDIA GeForce RTX 5000やAMD Radeon RX 8000シリーズでの採用されると言われていますが、GDDR7規格を策定するJEDECはGDDR7の具体的なタイムラインを発表していないため、確実に搭載されるとは言えません。ただ、今回検証ツールを開発するCadenceがGDDR7向けのサービスを開始した事でNVIDIAやAMDは次世代グラフィックカードでこのGDDR7の採用に向けた準備が可能となります。

このGDDR7は現行のGDDR6より高速化が行われており384-bitであれば1.7TB/sとHBM2に迫る帯域幅となっている一方でHBMよりコストは安いと考えられるため、GeForceやRadeonと言ったコンシューマー向けグラフィックスカード以外にもNVIDIA RTXシリーズなどエンタープライズ向けでの採用も増える可能性がありそうです。


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