95℃動作のRyzen 9 7950Xを空冷や水冷でテストした結果出現。性能は変わらず?

AMD Ryzen 7000シリーズではCPUの性能を最大限に発揮するために高負荷時にはCPU温度が95℃を超えない範囲で動作クロックを引き上げるという仕様になっていますが、海外でRyzen 9 7950Xを420mm水冷やハイエンド空冷クーラー、AMD純正CPUクーラーを用いてどれだけパフォーマンスや温度に影響があるのか検証した結果が出現しました。

95℃に到達するのは仕様であるRyzen 7000シリーズ

AMDのRyzen 7000シリーズは2022年9月27日から発売が開始されたAMDの最新鋭CPUで、パフォーマンス面では最上位モデルのRyzen 9 7950XはIntelの最上位CPUであるCore i9-12900Kを1.4倍近く上回るパフォーマンスを発揮するなどCPU性能に関しては従来のRyzen 5000シリーズを大きく上回っています。

しかし、この高いパフォーマンスを達成するためにRyzen 7000シリーズからはCPU温度95℃を目標に最大限まで動作クロックを引き上げて高いパフォーマンスを発揮するというブーストクロック仕様になっています。

そのため、ミドルレンジのRyzen 5 7600Xから最上位のRyzen 9 7950XまでCinebench R23など全コア、前スレッドを利用するようなタスクではCPU温度がほぼ必ず95℃に達するのですが今回、TechPowerUPが水冷クーラーを基準にハイエンド空冷クーラーやAMD純正クーラーそれぞれ用いてCPUのパフォーマンス差やそもそも動くのかなどを検証しています。

検証するCPUクーラーは4万円する水冷AIOとNoctua空冷とAMD純正CPUクーラー

TechPowerUPでは爆熱とSNSやRedditなどの掲示板で話題のRyzen 7000シリーズについて、最上位モデルのRyzen 9 7950Xを用いて3つのCPUクーラーで動作クロックや性能、サーマルスロットリング時の挙動などを調査しています。

水冷については、Arctic Liquid Freezer II 420 mmと呼ばれるハイエンドAIO水冷を用いています。これは日本円では約4万円ほどする水冷クーラーです。

マルチ互換オールインワンCPUAIO ウォータークーラー

空冷については1つ目にはハイエンドモデルであるNoctua NH-U14S、そしてもう一つの空冷CPUクーラーにはAMD純正CPUクーラーであるAMD Wraith Spireで計測が行われています。

行われるテストについては、Blenderによる全コアを用いたレンダリングテストやCinebench R23のシングルコアとマルチコアテスト、Adobe PhotoshopやVisual Studio C++でのコンパイル作業などワークステーション的な使い方から、Counter Strike Global OffensiveやCyberpunk 2077などゲームプレイ時の性能も検証されます。

Ryzen 9 7950Xは空冷でも水冷の動作クロックとほぼ変わらず。

AMD Ryzen 9 7950X Cooling Requirements & Thermal Throttling | TechPowerUp

まず、各CPUクーラーにおけるCPUの動作温度ですが、全コア、前スレッドを使うレンダリングにおいてはArcticの水冷AIOやNoctua、AMD純正クーラー共にすべて95℃に迫る温度を記録している一方で、ゲーミング時においては水冷時は70℃近辺、Noctuaはファン回転数80~100%で80℃以下、60~40%で90℃以下、20%動作では95℃という結果になっています。また、AMD純正クーラーはゲーミング時も95℃を記録しています。

各CPUクーラーでの動作クロックについても、検証が行われており1スレッド動作ではArcticの水冷やNoctuaの空冷は20~100%まで全領域で、AMD純正クーラーもファンが100%動作であればRyzen 9 7950Xの最高クロックである5.75 GHzに迫る値になっています。

また、16スレッドや32スレッドでの動作においてもNoctuaのファンを40%程度回している状態であれば動作クロックは水冷とほとんど変わらない動作クロックとなっており、比較的性能が高いハイエンド空冷CPUクーラーを搭載していれば動作クロックが大幅に低下するという崖のようなものは存在しないようです。

なお、AMD純正クーラーを20%動作で動かすという極端な状態でも1スレッドでは5.3 GHz、16スレッドでは4.1 GHz、32スレッドでは3.2 GHzと水冷に比べると大幅低下ですが、オーバーヒートでシャットダウンする事は無く、動作クロックも想像以上に持ちこたえられている印象はあります。

Ryzen 9 7950Xのパフォーマンスも水冷と空冷は同等。AMD純正クーラーでも水冷に対して最大6.5%の差に留まる。

TechPowerUPでは最後に、CinebenchやPhotoshop、コンパイル作業からゲームなど様々な場面でのパフォーマンスを計測しています。

まず、Arcticの水冷AIOとNoctua空冷との比較ですが、平均値としてはArctic水冷を100%としたとき、Noctuaのファンを100%動作させたときのパフォーマンスは99.8%と同等レベルを記録、またファン速度が60%までは99%台をキープしておりあまりハイエンドな空冷クーラーを搭載していればファンを全開で回さなくても十分高いパフォーマンスを発揮できるようです。ただ、40%にまで下げると98.8%に下がり、20%時には97.4%と明らかな差が出始めます。

ただ、この結果から分かるようにNoctuaなど高性能な空冷ファンを搭載すればRyzen 9 7950Xがパフォーマンスを発揮するのに必要な冷却能力はあるようです。

Arcticの水冷AIOに対して、AMDの純正クーラーはどうかと言うとこちらは100%動作においても97.5%と若干低めのパフォーマンスとなっており、60%まで下げると95.9%、40%動作では93.5%となります。

なお、AMDの純正クーラーを40%動作では水冷に対して6.5%のパフォーマンス低下となっていますが各作業においてこの数値にばらつきはあるようで、Cinebench R23においては30%以上パフォーマンス低下が記録されている一方で、Photoshopでは7%台、ゲームではほぼ同等となっています。

 

なお、Cinebench R23動作時にAMD純正クーラーのファン速度40%時には水冷に対してパフォーマンスは30%近く低下していますが、消費電力に関しては225Wから100Wと44%の消費電力低減が見られていますのでワットパフォーマンスに関しては性能の低いクーラーを使った方が上がるという結果になっています。(もちろんトータルでのパフォーマンスは大きく犠牲になりますが・・・)

Ryzen 7000シリーズに空冷CPUクーラー搭載は問題なし。あとは心理的な問題

TechPowerUPの結果では、Ryzen 9 7950XにNoctuaの空冷CPUクーラーやAMD純正CPUクーラーを搭載した上で、ファン回転数を20~100%固定で動作させるなど様々なコンディションでのCPU温度や動作クロック、パフォーマンスを計測していますが、結果としてはNoctuaなど性能が高い空冷CPUクーラーであれば空冷でも一切問題は無いと言えます。

また、仮にAMD純正クーラーのようにCPUの性能に見合わないクーラーを搭載してもCPUが強制的にシャットダウンするなどのトラブルにも見舞われずCPUが95℃を超えないように動作クロックを調整する仕様になっているためあまりCPUクーラーの冷却性能に関して心配する必要は無いようです。

 

Ryzen 7000シリーズについては各種レビューでもCPU温度が最高95℃に到達する事から搭載するCPUクーラーに関しては水冷ではないとキツイと言う見方もありましたが、検証してみると空冷でも全く問題は無いようですので水冷に抵抗がある人も安心してNoctuaなど空冷クーラーを載せた構成で組み立てる事が可能と言えそうです。

また、95℃という温度を恐れてECO-ModeやPBOの電力設定を低くするという事もCPUの仕様上不要であり、デフォルトのまま動作させればAMDが保証している動作範囲の上限である95℃を超えないように動作クロックなどを緻密にコントロールしてくれるようです。ですので、既にRyzen 9 7950Xなどを購入して95℃という温度を恐れて設定値を変えている人は一度デフォルトに戻してみると良いかもしれません。

すぐに買えるかは分かりませんが、新型PS5と言われている『CFI-1200』のエントリーがAmazonで開始されていますので、欲しい方は早めのエントリーする事がオススメです。

最新情報をチェックしよう!