IntelのSapphire Rapidsが50%減産。AMDやARM台頭で主要顧客が注文を半減

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Intelが2023年1月に発表されたサーバー・データセンター向けCPUであるSapphire Rapids世代のXeonですが、AMDやArm CPUなどの台頭や景気後退懸念からIntelの期待に反し2023年Q2の量産開始時には当初予定の半分程度の生産量にまで減産が行われる見通しとなるようです。

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Intelピンチ。Sapphire Rapidsの生産量が50%減産へ。AMDやArmの台頭や景気後退懸念で主要顧客が注文を50~70%削減。

Intelではコンシューマー向けに発売がされているAlder Lake CPUのアーキテクチャーをサーバー・データセンター向け製品に転用したSapphire Rapids世代のXeonを2023年1月に発表し、小規模ながら出荷が行われています。このSapphire RapidsではAlder LakeのP-Coreに採用されているGolden Coveコアを最大60コア搭載することで、CPU1基辺りの性能の高さで人気のAMDのEPYCシリーズに対抗する事を目論んでいましたが、どうやらIntelの想定を大きく下回る注文数が記録されており、2023年Q2の量産開始時には当初計画に対して50%近い減産も行われるようです。

香港を拠点に置く投資会社、TF International Securitiesのアナリストが集めた情報によると、IntelではSapphire Rapids世代のXeonについて2023年Q2(4~6月)に量産を開始し、投資家の多くがIntelの収益を大きく好転させる製品と期待が寄せられていますが、Sapphire Rapidsの製造に関係するサプライヤーの情報よりIntelではSapphire Rapidsの生産量について当初予定していた計画に対して50%程度減らした生産量に減産する見込みのようです。

この原因としては、Intelの主要顧客であるMicrosoftではSapphire Rapidsを同社のクラウドサービス向けに大量投入行う予定だったのですが、景気後退懸念からかMicrosoftでは当初予定に対して50~70%注文量を削減したとのことです。また、その他のクラウドサービスプロバイダーも、2023年下半期に投入する予定だったSapphire Rapids搭載のサーバーシステムをキャンセルまたは延期する事例が増えているようです。

景気後退以外の原因も出ているようです。代表例は最近ではサーバー・データセンター向け製品で30%近いシェアを獲得も視野に入り始めているAMDのEPYCシリーズの躍進もありますが、近年急激に存在感を表しているARMによってIntelのシェアに影響が出始めているとのことです。特に、ARMに関してはMicrosoftがAmpereが製造するARM CPUを搭載したサーバーを2024年上半期から投入するなど計画されています。

また、近年IT大手が力を入れ始めているAIに関しても、サーバーシステムはIntelが得意とするx86系CPUである必要はないことから、このAIに対する急速な投資拡大もSapphire Rapidsそして、Intelにとって逆風となる出来事のようです。

Intelに関しては収益の柱でもあるコンシューマー向け製品の売上高が大きく落ち込んだ事で決算は散々な結果になっていますが、Intelはこの時の決算発表でサーバー・データセンター向け製品でAMDに大きく後れを取っている事を認め、『私たちはつまづき、シェアと勢いを失いましたが、今年はそれが安定すると考えています』とSapphire Rapids投入によって反転出来る自信を見せていました。しかし、上記のアナリストの情報が正しければつまづいたまま立ち上がれない状態が次の決算で明らかになるかもしれません。

Intelがここまで酷い状況に置かれている理由は何と言っても新製品の遅延であり、Sapphire Rapidsも本来であれば2021年に登場させる予定でした。しかし、2022年に遅延したと思えば2023年Q2より出荷開始となってしまっています。今後、IntelではSapphire Rapidsの後継としてEmerald Rapidsを2023年中に、2024年にはGranite Rapidsを発売予定ですが、これらのCPUを予定通りに出せないとなるとIntelはサーバー・データセンター向けでAMDに対して更に大きくシェアを失う可能性が高いので今度こそ予定通り新製品を出して欲しい所ですね。

AMD一強になってしまうと、競争原理が働かずコンシューマーにとっても悪影響となりますので。

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