AMDがMCM型GPUの特許を申請。MCM型Radeon登場への布石か

  • 2021年1月5日
  • 2021年1月4日
  • AMD

Advanced node

AMDが2022年までに発売予定のRDNA3アーキテクチャー採用のRadeonシリーズでは『Advanced Node』が採用されるとされていますが、その『Advanced Node』のヒントとなるかもしれないAMDの特許がアメリカで申請された模様です。

Ryzenに似たMCM構成のGPU

AMD Files MCM Based GPU Patent - Finally Bringing The MCM Approach To Radeon GPUs? (wccftech.com)

MCMとは、マルチ・チップ・モジュールを略した呼び名でRyzenシリーズで採用されているような、複数のダイを1つの集積回路として動作させる事を挿します。
CPUでは既にRyzenで採用されていますが、GPUの分野においては各ダイ間のレイテンシーの問題やプログラミングモデル、そしてGPUの特徴でもある並列動作が困難なことから未だに実用化はされていません。しかし、AMDではこれらの問題を解決する方法を特許が申請されました。

High bandwidth passive crosslinksと呼ばれる技術を採用

AMDが申請した特許の原文PDF

GPUのMCM化では冒頭で紹介したように、レイテンシーやプログラミングモデル、並列動作が困難です。また、AMD自身、メモリーを同期させるためのI/Oインターフェイスなどが非常に複雑で高価なものになってしまうとしています。そこで、新たなアプローチとして『High bandwidth passive crosslinks』と呼ばれる技術を投入する事が特許には記載されています。この『High bandwidth passive crosslinks』では、1つ目のGPUダイはCPUとの直接通信が可能になっている一方で、2つめ以降のGPUダイは1つ目のGPUダイをPassive crosslinkを経由して通信を行うという設計です。

また、キャッシュ関係でも従来型のGPUではGPU自体にLast level cache(LLC)が搭載されていますが、複数のGPUダイとの同期問題を解決するために、AMDでは各GPUダイに対してLLCを搭載するとの事です。同期問題の解決には前述した『High bandwidth passive crosslinks』を利用する事で各GPUダイで必要な情報をやり取りする事が可能としています。

AMDではMCMを採用したGPUをRDNA3アーキテクチャーとして2022年までに発表を予定しています。
なお、NVIDIAでもMCM採用に向けて開発は行われていますが、MCMを採用予定だった『Hopper』GPUは2021年中の発売から後退する可能性が指摘されています。

RTX 4000 シリーズの情報出現。ADA LOVELACEは18432コア搭載

MCM採用の目的はコストパフォーマンス向上

MCM採用には大きなハードルがあるのになぜAMDやNVIDIAが開発を進めているかと言うと、大きな理由としてコストパフォーマンスの大きな向上が見込めるためです。

現行のGPUでは性能が高いハイエンドモデルではGPUのダイサイズが大きくなりがちです。そうなると、1枚のシリコンウェーハから取れるGPUダイの数は少なくなり、生産効率や歩留まりが大きく低下してしまいコストの下げる余地が無いためミドルレンジモデルやローエンドモデルへの展開も難しくなります。そのため、現行のGPUではハイエンド、ミドルレンジ、ローエンドでGPUが別設計で作られています。例えばRTX 3000シリーズではハイエンドのGA102、GA103、GA104など多くの種類が存在し開発リソースも余分に必要になります。

一方でMCMを採用すれば性能が低い代わりにGPUダイサイズが小さいGPUを何個も搭載して、ハイエンドモデル、数を減らしてミドル、ローエンドモデルを作る事が可能になります。こうする事で、開発リソースも温存する事が出来ると同時に、ダイサイズが小さいため1枚のウェーハーから多くのGPUダイが取れます。これにより開発リソースや生産コストの圧縮が可能になりコストパフォーマンス面で大きな向上が期待できます。

 

特許が申請されたからと言って、製品に100%直結する事は無く、アイディアを取られないように申請だけしておくというパターンが多いので今回のMCMが本当にRadeonシリーズで採用されるかは未知数です。
ただ、過去にRadeonシリーズのロードマップが示された際には7nm、5nmなど製造プロセスを書かずにあえて『Advanced Node』と意味深な記載をしている辺り、MCMを採用する可能性はほぼ100%と言えます。
CES 2021では、AMDのCEOであるLisa Su氏が登壇し、Radeonシリーズの新ラインアップ発表などが予定されています。ひょっとしたら、そこで今後のRadeonの将来について語られ、その中でRDNA3やMCMについて新情報が出る可能性もありますので気になる方はチェックする事をお勧めします。

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