NVIDIAのRTX 4000シリーズは在庫過多状態。業界平均の2倍超えの在庫量

NVIDIAでは直近で発売したGeForce RTX 4070では悲惨な売り上げを理由に発売1週間で値下げや生産の一時停止などが噂されていましたが、どうやらRTX 4070に限らず、NVIDIA製グラフィックスカード全般が売れておらず在庫量が業界平均の2倍を超えてしまっているようで今後も改善しなければ減産や値下げを余儀なくされる可能性が出ているようです。

NVIDIA RTX 4000シリーズGPUが在庫過多状態に。業界平均の2.3倍に当たる220日分の在庫を持ち、TSMCの足を引っ張っている模様

TSMC’s 3-nm Push Faces Tool Struggles | EE Times

NVIDIAが直近で発売したGeForce RTX 4070ではコストパフォーマンスの悪さから発売1週間でAIBに対して値下げの原資とするために返金を行うという噂や1ヶ月ほど生産を一時停止するという話まで出るほどに売れていないことが明らかにされていますが、どうやらGeForce RTX 4000シリーズなどTSMCで製造されるNVIDIA製グラフィックカードについてファブレスメーカーとしては異常な量の在庫を抱えてしまっているうようです。

半導体業界に精通する調査会社、Arete ResearchによるとTSMCを利用するファブレスメーカー各社の在庫量について調査を行った結果が明らかにされています。この調査の対象となったファブレスメーカーはTSMCを多く利用する上位顧客6社似限定され、Marvell、Broadcom、Mediatek、Qualcomm、AMDそしてNVIDIAとなっています。

この在庫量については過去5年間の平均は92日とされていましたが、この92日を近辺に位置するのはBroadcomm、AMD、Mediatekの3社のみとなっています。MarvellやQualcommに関しては150~190日と過去5年の業界平均を大きく超えているのですが、NVIDIAに関しては200日という危険ラインを超える220日が記録されてしまっているようです。

NVIDIAがここ最近でTSMCを利用している製品は古いものではGTX 1650などに搭載されているTuring(TSMC 12nm)ですが、メインはTSMC 5nmで採用製品はHopper H100の他、冒頭で紹介した問題のGeForce RTX 4000シリーズです。

Hopper H100についてはChatGPTなどを筆頭にAI開発を行う企業などで積極的に採用がされているほか、受注生産が主であることから在庫を過剰に持つ可能性は低いと見られています。一方で、GeForce RTX 4000シリーズに関してはコンシューマ向け製品であることからNVIDIAが考える販売予測に則って生産が行われますが、RTX 4080やRTX 4070 Tiそして、RTX 4070があまり売れていないことを加味すると、NVIDIAは大量のRTX 4000シリーズの在庫を抱えている可能性がありそうです。

NVIDIAが抱えている在庫としてはRTX 4090やRTX 4080、そしてRTX 4070 TiとRTX 4070の4製品分のGPUダイですが、これらの製品は価格が10万円を超えていることから販売数は期待できず、在庫が減らないようであれば値下げなどを余儀なくされると見られています。特に、RTX 4070 TiやRTX 4070についてはライバルのAMDが競合製品を出していないにも関わらず販売数は低調で、AMDが2023年5月以降に競合モデルを発売すれば販売数は更に落ちると見られています。