GPUなどの在庫量がコロナ前の水準を超える。価格下落は近い内に起こる?

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GPUやPS5などコンシューマー向け家電などは価格の高騰や入手が困難な状況が続いていますが、UBSのアナリストによるとこれら製品の在庫量はコロナ前の水準を大幅に超えているようです。

目次

コロナで爆発的に需要が増えたPCパーツやゲーム機

PC, Consumer Electronics Inventories Climb Above Pre-Pandemic Levels | Tom’s Hardware 

2020年3月頃から世界各国で新型コロナウイルスが流行り出し、外国への渡航禁止や人流抑制のためロックダウンなどが行われ多くの人は家で仕事をするなど生活の大半を家で過ごすようになりました。このような状況下で、在宅勤務用にラップトップPCやモニターなどを購入するユーザーが増え、娯楽用にゲーミングPCに必要な高性能なCPUやGPUそして、コンソールゲーム機の需要は大きく増加しました。また、一般消費者向けだけでは無く、在宅勤務者の増加に伴いクラウドサービスへの需要も増加し、サーバーやデータセンター用CPUやGPUの需要も大きく増加しました。

ただ、この急激な需要の増加に対して、新型コロナウイルス流行初期ではロックダウンなどが行われた関係上サプライチェーンが破綻、CPUやGPU、コンソールゲーム機の製造に必要な部品が滞り、需要に対して供給が追い付かない状況が発生しました。

この需給状況によって、PCパーツ特にGPUは世界的に品薄となり価格は高騰、この状況を悪化させるかのように仮想通貨の価格が上がりGPUの需要は更に増加、同時に転売屋なども利益を得ようとGPUを買い漁るなど事態は更に悪化しました。

しかし、2022年に入り始めてこの需要に対して供給が追いついていないという状況は大幅な改善に向かっているようです。

PCパーツやコンシューマー家電の在庫量はコロナ前の水準を29%以上超過

 

グラフはUBSのアナリストによる調査結果によるもので、2019年12月を基準にPC系パーツ、ネットワーク設備、コンシューマー家電、ストレージ系、プリンター系、サーバー系の米国における在庫量を示しています。

このグラフによると、新型コロナが発生し各国がロックダウンに踏み切った2020年4月から5月にかけてPC系パーツの在庫量は過去最低を記録しています。ただ、そこからは一気に回復し、2020年夏ごろにはコロナ前の水準に戻っていまが、その後は仮想通貨が値上がりしたタイミングで2020年秋や2021年秋にかけてGPUやCPUなどの在庫量は激減しています。一方で、2021年1月にかけて在庫量が一気に増えていますが、これはCPUやGPUの新製品であるRyzen 5000シリーズやRX 6000シリーズ、RTX 3000シリーズなどが発売されたためと見られています。

そして、2022年1月には仮想通貨の価格が大きく下落した事やそもそもGPUやCPUの価格が原因で販売状況が芳しくないのか、在庫量はコロナ前に対して55%以上を記録している状態になっているとの事です。

PS5やXbox Series Xなど入手が非常に困難となっていますが、コンシューマー家電についても2020年から2021年にかけてコロナ前の水準を10%以上下回る在庫量になっていますが、2021年末から2022年にかけて一気に改善、現在はコロナ前の水準に対して29%と言う値になっています。

一方で、サーバー向け製品やプリンターのトナーなどの部品は依然として需給状況は厳しい状態となっています。最近ではキャノンが複合機でトナー残量を表示するICチップを省いたトナーを供給しているようですが、この影響を受けているものと見られています。サーバー向け製品に関してはサーバー、データセンター需要が引き続き伸びている事から低い在庫量となっているようです。

新製品の登場も控えているため、近い内に価格下落の可能性も。一方で『万が一』に備えている可能性も

PCパーツやコンシューマー家電の在庫量は大きく積みあがっている状況にあり、在庫を持つ企業側としては売れ残るリスクとなるため、近い内に販売価格の引き下げに踏み切る可能性があります。特にGPUにおいては2022年にNVIDIAがGeForce RTX 4000シリーズ、AMDがRadeon RX 7000シリーズの発売を秋頃に予定しているため、夏以降にGPUが売れるという状況は考えにくい状況です。また、GPUが高くても売れる一番の理由であったEthereumなど仮想通貨も、価格が安定せず2022年中にはGPUを使ってマイニングが出来なくなるPoS(Proof of Steak)に移行すると見られています。そのため、近い内にGPUの価格については下落する可能性があるようです。

ただし、新型コロナで予測される需要に近い在庫量だけ確保する『ジャストインタイム』型の在庫モデルには大きなリスクが伴う事が証明されてしまった事もあり、企業としてはジャストインケース型つまり、若干ながら余分な在庫量を持っておく事でパンデミックなど需要急増時の販売機会損失を回避する傾向が出ている可能性もあります。そのため、GPUやCPUなど積みあがった在庫を投げ売りして放出するという事は起こりにくいという見方もあるようです。

ただ、どちらにせよ販売価格は定価に近づく方向に向いていっているとは言えそうです。

 

GPUの販売価格は右肩下がりで下落。一方でAMDとNVIDIAは定価販売を演出

 

最近は原油価格高騰などに伴う物流コストの上昇やTSMCの値上げなどに伴って定価自体が上がるという話もありますが、現在でもGPUなどは定価の1.5倍から2倍近い価格で販売されています。そのため、GPUの定価が20%上がったところで、定価に上乗せされている金額が下がれば、販売価格は今よりは下がる事は確実と言えそうです。

特にGPUについては何が何でも欲しいという人は高くても既に購入に踏み切っていると見られており、それ以外の人は現在の高値では買わない事が確実です。また、今年の秋には新製品が投入されるため、今ある在庫を売り払いたい場合夏までに価格を下げるなどして売り払わないと売れない在庫をずっと抱えてしまう事となるため、近い内にGPU価格については値下げが行われる可能性は高いと言えそうです。

心配な点としては、もし同じタイミングでまたEthereum価格が上がったりすると今の価格のままRTX 4000やRX 7000シリーズの発売を迎えてしまいそうですが、アメリカは利上げに踏み切る情勢ですので個人的にはあまり高い確率では発生する事では無いと思っています。ロシアがウクライナ侵攻したらとか考え出したらキリが無いですが。

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