NVIDIA製グラフィックカードが値上げに転じる。仮想通貨が原因か

Ethereumの価格が過去最高値を更新する勢いで値上がりしていますが、どうやらこの動きに追従してグラフィックカード、特にNVIDIA製の価格が再び値上げに転じ、在庫も減り始めているようです。

NVIDIA製GPUの値上げ鮮明に

Graphics cards' pricing already going up in China, up to 92 USD increase month to month - VideoCardz.com

中国のテック系サイトであるMyDriversや3DCenterによると、中国や欧州でのGPU価格が底を打って間もないですが、この値上げ傾向がより明確になりつつあるとの事です。GPUの価格については2021年に入り出してから徐々に上昇し、2021年5月頃にはEthereum価格が最高値を更新するとともにGPUの在庫は一掃され、同時に価格は定価の3倍以上の値を付ける所まで値上がりました。しかし、中国での仮想通貨規制が導入された事でEthereum価格は大きく下落、同時にNVIDIAがEthereumマイニングを制限したLite Hash Rateモデルが投入されるなどしてGPUの在庫状況は改善し、7月末頃には2021年1月程度の水準にまで下落しました。

しかし、ここ最近Ethereum価格が再び上昇すると同時に、GPU価格が再び上昇傾向に転じ、その傾向が継続しているとの事です。

欧州や中国でGPU価格が上昇傾向である事を確認

3DCenterでは月に1回ほど、ドイツのパソコンパーツ販売店で売られているグラフィックカードの価格情報をまとめており、8月29日の集計結果によるとAMD製グラフィックカードは定価の160%、NVIDIA製グラフィックカードは159%を記録しています。

価格については5月16日の集計ではNVIDIA製グラフィックカードが304%を記録していたのに比べると大きく下落はしているものの、8月6日に記録した最低値である150%からたった一か月程度で9%上昇した事になります。また、AMD製グラフィックカードについても5月2日に214%を記録し、7月4日には153%まで下がったものの、そこから1ヵ月毎に3%程度とジワジワと上昇を続けています。なお、在庫状況については、まだ在庫があるものの徐々に減り始めている傾向との事です。

また、価格値上げは欧州のみならず中国でもGPUの価格上昇は記録されているようです。MyDriversによるとGeForce RTX 3070 Tiは7月の価格に比べて18%上昇しており、GeForce RTX 3080などその他GPUも$15~$62程度値上げがされているとの事です。

ASUS:

  • RTX 3070 Ti: 600 yuan (92 USD≒14,720円) 
  • RTX 3080 and RTX 3070: +300-400 yuan (46-62 USD≒7360~9920円)
  • RTX 3060 TiRTX 3060, and RTX 2060: +200-350 yuan (31-54 USD≒4960~8640円)
  • GTX 1660 and GTX 1050: +100-150 yuan. (15-23 USD≒2400~3680円)
  • RX 6600 XT: +400 yuan (62 USD≒9920円)

Gigabyte

  • RTX 3090 and RTX 3080 Ti: +200-400 yuan (31-62 USD≒4960~9920円)
  • RTX 3070 TiRTX 3070: +100-300 yuan (15-46 USD≒2400~7360円)
  • RTX 3060 TiRTX 3060: +300 yuan (46 USD≒7360円)
  • RTX 2060, GTX 1660, GTX 1650: +100 yuan (15 USD≒2400円)
  • GTX 1050 Ti: +80 yuan (12 USD≒1920円)

MSI

  • 値段に変更は無いものの、ミドルからハイエンドカードは在庫なし

*1USD=160円計算(代理店によるマージンが加味されるため)

NVIDIA显卡全面缺货、涨价!最多达600元-华硕,技嘉,NVIDIA,显卡 ——快科技(驱动之家旗下媒体)--科技改变未来 (mydrivers.com)

日本でも少し値上がり傾向? 在庫はまだ豊富にある模様

上記は海外での話でしてたが、日本でのグラフィックカード価格や在庫状況については8月下旬を底に若干値上がりが記録されているモデルがチラホラ見えている状況になっています。

例えば、ドスパラで販売されているPalit製のGeForce RTX 3080については7月頃までは15万円を超える価格でしたが、8月下旬から13.5万円にまで下落。しかし、その後から徐々に値上げを開始し、現在は14万円で販売されています。

また、減産されるという情報が出ているRTX 3060 Tiに関しても、8月下旬に平均販売価格が最安値を記録したものの、それ以降急激に上昇している状況となっています。

全体的なグラフィックカードの在庫ですが、NVIDIA製はRTX 3090からRTX 3060まで多くのモデルが販売中となっているため、在庫状況としては豊富にあると言える状況になっています。AMD製グラフィックカードについても最近発売されたRadeon RX 6600 XTを除き、RX 6900 XTからRX 6700 XTまで多くのモデルが販売されているためこちらも在庫は豊富にあると言えそうです。ただ、値段についてはAMD製グラフィックカードも価格.comを確認する限り上昇傾向にあるように見受けられます。

原因はEthereum価格の値上がりと中国でのロックダウンが影響か

GPUの価格とEthereumの価格は密接に連動する関係にあります。GPU価格が下落していた7月頃はEthereumの価格は一時は20万円を下回る価格で取引がされていました。しかし、8月に入ってからEthereum価格は右肩上がりに上昇し、9月6日現在は5月に記録された最高値に近い43万円程度で取引がされています。その動きに吊られるように今回の値上がり傾向の話が出ています。

ただ、幸いなことに現在市場に出回っているグラフィックカードのほとんどはマイニング性能を50%程度に制限したLite Hash Rate(LHR)モデルとなっています。そのため、5月に記録されたEthereum最高値に近いものの、GPUでのマイニング性能が制限されているためか、価格自体は最高値である定価の300%に近づく気配はありません。ただ、最近マイニング制限を若干回避しGPU性能の約70%にまで発揮できる方法が出現しているため、Ethereum価格が更に上昇すればLHRモデルでも元が取れると読み、購入に走るマイナーが出てきているのかもしれません。

NVIDIAのLHRマイニング性能制限を若干無効化するマイニングソフトが出現

また、もう一つ、価格上昇に拍車をかけているのが中国国内でのロックダウンです。中国では新型コロナウイルスを抑え込みに成功していましたが、感染力が非常に強いと言われているデルタ株が蔓延、7月中旬にはデルタ株の感染拡大が発覚した南京市や張家界市を中心に一部業種でロックダウンや在宅勤務が推奨される事態となりました。これにより、GeForce RTX 3060 TiやRTX 3060は最大50%程度減産になるという情報がありますが、恐らくこの減産は他のグラフィックカードにも波及すると見られており、9月以降製造中断の影響を受けてグラフィックカード価格の上昇または在庫の減少などが目立ってくる可能性があります。

GeForce RTX 3060を中心に最大50%減産へ。回復は最速で9月末以降

 

2021年に入ってからGPU価格とEthereum価格は連動したような状況になっているものの、5月頃に記録した値段にまでグラフィックカード価格が上昇していない背景は恐らくLHRモデルの存在や中国での仮想通貨規制が原因と思われます。ただし、LHRモデルであっても十分に採算が取れるところまでEthereum価格が上昇すれば再びグラフィックカードが買い占められてしまう事態が発生するかもしれません。

特に不安なのがアメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)によるテーパリングの行方です。このテーパリングは仮想通貨価格に悪影響があると言われており、2014年や2018年にテーパリングが行われた際にはBitcoinの価格は低迷していました。

そんなテーパリングですが、FRBは「雇用が持ち直せば秋頃に実施が出来る」と言うスタンスでおり、早ければ秋頃にはテーパリングを実施できると息巻いていました。しかし、9月3日に発表された8月分の雇用統計では市場予測が前月比72万の雇用増加になると見込まれていた所が、それを大幅に下回る23.5万人増に留まってしまいました。そのため、FRBとしてはテーパリング判断を秋から年末以降に持ち越される形となってしまいそうです。そのため、恐らく少なくとも年末まではEthereumなど仮想通貨の価格は高い水準を維持し、それと同時にマイニング目当てでグラフィックカードを買うマイナーなどは減らない可能性は大いにあると考えられます。

*テーパリングと散々書きましたが、簡単に言うと金融引き締めで、何故そんな事をするかと言うと物価が上がりすぎるのを抑制するたです。(テーパリングの詳しい説明は銀行や証券会社のページで詳しく書かれているので興味がある方は調べてみてください)

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