DDR6メモリーの登場時期、速度、仕様の違いを解説。投入は早くても2026年?

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DDR5については2021年頃から市場投入が行われ、2023年現在では徐々に普及し始めているタイミングですが、次の規格でもあるDDR6の開発が進んでています。今回はこのDDR6メモリーについて登場時期や搭載される新機能と変更される仕様などについて2023年時点で判明している事を解説していきます。

目次

DDRの歴史の現在地点について

DDRとはDouble Data Rate SDRAMと呼ばれるメモリー規格の1つで、世代が上がる毎にDDR2など末尾の数字が上がっていきます。

初代DDRの規格は1998年に初めて策定され、2003年にDDR2、2007年にDDR3、2014年にDDR4、そして2020年にDDR5規格が策定され、世代が上がる毎に以下の通り性能が強化されたり機能が追加されています。

  • DDR – 2000年に初めてリリースされ、DDRはSDRAM (Synchronous Dynamic RAM)の後継として登場しました。DDRは、以前のSDRAMと比較してデータ転送速度を2倍にすることができました。DDRの最大クロック速度は400MHzで、最大帯域幅は3.2GB/s。
  • DDR2 – 2003年にリリースされ、DDR2はDDRの進化版。DDR2は、以前のDDRと比較してより高速なクロック速度と低い電力消費を実現しました。DDR2の最大クロック速度は800MHz、最大帯域幅は6.4GB/s。
  • DDR3 – 2007年にリリースされたDDR2の進化版。DDR3は、より高速なクロック速度とより効率的な電力消費を実現し、最大クロック速度は2133MHzで、最大帯域幅は17GB/s。
  • DDR4 – 2014年にリリースされたDDR4はより高速なクロック速度、より低い電力消費、およびより大きな最大容量を実現、最大クロック速度は3200MHzで、最大帯域幅は25.6GB/s。
  • DDR5 – 2020年にリリースされたDDR5は、より高速なクロック速度、より効率的な電力消費、DDR4よりも大きな最大容量を実現するとともに、高速なデータ転送速度を可能にするために、2つの独立した32ビットチャネルをサポートしています。DDR5の最大クロック速度は8400MHzで、最大帯域幅は67.2GB/sとなっています。

今回紹介するDDR6は2020年に策定され、2021年から市場投入が行われているDDR5の後継規格であり現在、規格策定中の新しいメモリー規格になります。

DDR6など新しいメモリー規格が登場すれば対応するには既存のマザーボードからの乗り換えが必要となり自作PCを作る上で気になる所となりますので、今回はこのDDR6の登場時期やパフォーマンスや仕様で変わる点などを解説していきます。

DDR6の市場投入は早くても2025年。コンシューマー向けでは2026年頃登場予定?

2023年4月時点ではDDR6の詳細仕様などは定められておらず、まだDDR6などの仕様を取りまとめる業界団体、JEDEC内で議論が行われている最中です。

この仕様策定については2024年を目標に各社で研究開発などが進められており、実際に製品化されるのは早くても2025年になるとメモリーモジュールの開発を行うSamsungは予測しています。ただ、この2025年に投入される製品は主にサーバー・データセンター向け製品となる見込みで、コンシューマー向け製品に関しては2026年頃に初めて投入されると考えられています。

DDR6では速度は倍増、標準で12,800MT/sに。内蔵GPUでは性能が大幅向上?

Samsungが開発中のDDR6モジュールはDDR5に対して最低でも2倍の速度になる予定で、JEDEC規格であるDDR5-6400MT/sに対してDDR6では12,800MT/s程度の速度が期待できるようです。理論上の帯域幅ではDDR5-6400は50GB/sとなりますが、DDR6-12800では約2倍の100GB/sとなり大幅な高速化が期待できます。

この高速化による恩恵は頻繁なメモリーアクセスを必要とするサーバー・データセンター向け用途では大きなパフォーマンスの向上が可能となります。ただ、コンシューマー向けにおいても近年高性能化している内蔵GPUのパフォーマンスを大きく向上させることが可能になります。特に内蔵GPUではディスクリートGPUとは異なりメモリー帯域幅がメインメモリーに左右されてしまうため、ボトルネックが生じています。これがDDR6の100GB/sと言う帯域幅での利用が可能になればグラフィックス性能の底上げが可能になります。

そのため、DDR6投入による恩恵はデスクトップPCより内蔵GPUを搭載するノートPCの方が大きいと見られています。

各DIMMチャンネル数がDDR5では2からDDR6では4に倍増

DDR4からDDR5の違いとして、各メモリーチャンネルが従来の1つから2つに増えていますが、DDR6ではDDR5の2倍に当たる4チャンネルに倍増します。

チャンネル数が増える事によるパフォーマンスの向上はDDR4からDDR5時には同じ動作クロックで1.3倍程度であることがMicron社が公開したシミュレーションで明らかになっていますが、DDR5からDDR6でチャンネル数が更に2倍に増えても同じ様なパフォーマンス向上が見られるかもしれません。

MSAP技術でメモリーの大容量化と高速化を実現

DDR6ではメモリーの更なる高速化が行われるため、より精密なメモリーモジュールが必要となります。そのため、SamsungやSK Hynix、Micronなどでは『MSAP』と呼ばれる新技術の採用を発表しています。

このMSAPはModified Semi Additive Processと呼ばれる製造技術で、従来よりも緻密な回路の形成が可能となりメモリチップの容量やデータ処理速度の向上が期待できる技術になります。既にDDR5メモリーモジュールでも投入されている技術となります。

DDR6の投入は2026年以降、本格普及は2027年?AMDのソケットAM5やIntel LGA1851の寿命は長め

DDR6については既存のDDR5との互換性は一切なくなることが確実ですが、現時点ではこのDDR6については仕様策定も行われておらず、策定時期も早ければ2024年と直近で登場する規格ではありません。また、規格策定が行われても、コストの問題から最初はサーバー・データセンター向け製品で投入され、コンシューマー向けへの投入はその後となるため、予定通り2024年に規格策定となれば、コンシューマー向け製品に反映されるのは2026年頃で、価格や対応機種などが増える事による本格的な普及は2027年以降になると考えられます。

そのため、2023年時点でDDR6の事まで考えてPCの構成などを考える必要は無いと言えそうです。


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コメント

コメント一覧 (1件)

  • 今のコンピュータ環境は、主メモリがボトルネックになっている。
    DDR5はおそらく短命に終わる。CPUやGPUのクロックを上げてベンチマークを良くした所で、メモリーアクセスが遅ければ実性能はでない。
    DDR5が規格的にいまいちだから、本質的な改善をするためには、DDR6で速度と容量の大幅アップしないとだめ。主メモリの進歩だけが大幅に遅れているのは、CPU/GPUと違って競争原理が働いていないせいでもあり、致命的な欠陥になっている。

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